遺言による相続登記の流れ

前提知識
●遺言あり(有効→執行)        →(相続税申告)→名義変更手続き
●遺言なし(無効→執行しない)→遺産分割→(相続税申告)→名義変更手続き

①遺言の有効性の確認
1)公正証書・・・有効性は限りなく高い
2)自筆証書・・・遺言能力、筆跡、無理矢理書かせる、遺言の有効性の判断要。
遺産もれ、財産特定困難 登記ができるかどうかの判断要。

②執行するかの確認
公正証書→検認不要
自筆証書→検認必要
※検認とは家庭裁判所で、確かに遺言書はあるという事を認める証拠保全手続き。
相続人の確定が必要なので日数がかかる。
注意点:この検認の作業でもたもたしていると、トラブル必至の場合、
単独で法定相続分に基づく相続登記手続をされる可能性がある。
登記をされてしまうと裁判で遺言により無効にできるが、非常に面倒である。
しかし実務上は、この相続登記にも相続人全員の確定が必要で時間がかかり、
そこまで多くはなかった。平成28年3月から相続人全員の印鑑証明が不要になったので、
今後は多くなるかもしれません。

ポイント:トラブル必至の場合は遺言をすぐ執行すべき場合が多い。
トラブルが顕在化してない場合は遺言を執行せず遺産分割協議(相続人全員の同意)
で決めるのがよい。理由は遺留分減殺請求(知った時から1年。相続開始から10年)の
可能性が無きにしも非ず。
遺産分割協議(相続人全員の同意)=遺留分減殺請求の対象にならない。


③登記事項は遺言が公正証書であろうが自筆証書であろうが違いはない。
1)相続人に「~を相続させる」遺言― 原因は「相続」
相続人(取得者)の単独申請
農地法3条1項考慮不要
登録免許税率0.4%
不動産取得税はかからない。


2)相続人に「~を遺贈する」遺言―原因は「遺贈」
遺言執行者と受遺者の共同申請(同一人は単独申請可)
→いない場合は、相続人全員(後日遺言者執行者選任申し立ては可能)
農地法3条1項考慮不要
登録免許税率0.4%
不動産取得税はかからない。

3)相続人以外の遺言すべて  -原因は「遺贈」
遺言執行者と受遺者の共同申請(権利証又は登記識別情報が必要)
→いない場合は、相続人全員(後日遺言者執行者選任申し立ては可能)
農地法3条1項許可届出(特定遺贈)
登録免許税率2%
不動産取得税の負担(特定遺贈)


(参考)
死因贈与契約の登記
・仮登記は順位が保全できる(登録免許税は固定資産評価の1%)
しかし仮登記をすると記載が残るのでトラブルの可能性も残る。
・本登記の原因は「贈与」。効果は遺贈(登録免許税は固定資産評価の1%)