総括
①顧客との契約の識別にて、契約をまとめられるものは結合する。
②その結合した契約又元からひとつの契約の中で、複数の履行義務があれば分けて計上。
↑ここまで計上の単位。
③リベートなどがあれ加味する。
④元からひとつの契約で別個の履行義務がある場合は独立販売価格を見積もる。
↑収益の金額を算定。
⑤履行義務が一時点で充足するか一定期間で充足するかを判定して計上。
↑収益の計上の時期を決定。
① 顧客との契約の識別(要件に満たす契約をしているか→新収益)
●所定の要件を満たす契約に該当すれば収益認識会計基準が適用。
書面・口頭・取引慣行等によって契約を承認し、それぞれの義務の履行を約束している。etc
形式上、契約が複数に分かれていても下記に該当すれば単一の契約になる。
①同一の顧客
②同時(又はほぼ同時)に締結した複数の契約
③契約の結合の三つの要件のいずれか当てはまる場合。
●複数の契約で、同一の商業的目的を有する。(販売と設置など)
●1つの契約において支払われる代金が、他の契約の価格又は履行により影響を受ける。(セット販売で安くなってる場合)
●複数の契約において約束した財又はサービスが、履行義務の識別の要件により、単一の履行義務となる。
弊社の場合、業務委託契約(金額は見積後の発注に従う)と発注書で上記を満たす。
また、WEB制作と保守サービスを単一契約にする必要があるか?だが、相互で値引きもしてないし、単一契約の結合にしなくてよい。又、保守契約はなくても商業目的は果たせる。
② 履行義務の識別(上記の契約の中に履行義務はいくつ含まれているか→履行義務ごとに売上計上)
※履行義務とは、財又はサービスを顧客に移転する約束すること。
1つの契約の中に複数の財又はサービスがあった場合。
下記2つにどちらか当てはまれば別個の履行義務になる。
①単独で顧客が便益を享受。
②他の資源を組み合わせて顧客が利用できる。
●別個の財→ 【商品A】【商品B】のような複数の商品を顧客に移転。
●別個のサービス →【修繕サービス】【輸送サービス】のような複数サービスを移転。
上記は、商品を引き渡した事で、履行義務は充足され一時点で収益を認識する。
★一連の別個の財又はサービス → 【修繕サービス】【保守サービス】のように契約期間にわたってサービスを顧客に移転する事。
上記は、一定の期間に応じて収益を認識する。
弊社の場合、WEB制作と保守サービスが基本契約書上で分かれており、保守に関しては、その都度、請求書で対応しているため当然別個としている。
今後、仮に、ひとつの契約とした場合、保守は①と②にも該当するので別個になるので注意。
③ 取引価格の算定(リベート・値引きなどの金額の減額を考慮する)
新収益基準は、販売価格=売上額とは限らない。見積の要素もある。
値引き・リベート・返金・インセンティブ等も加味。
弊社の場合、特に上記のようなものはないので不要。
④ 取引価格を履行義務に配分(識別した履行義務に対して、③の価格を配分)
ひとつの契約の別個の履行義務の場合が要件。
金額の内訳が記載してない場合。
それぞれ独立販売価格を見積って、それぞれを売上で計上する。
内訳に金額が記載されていても、
独立販売価格と乖離がある場合は、それぞれ適切な独立販売によって計上する。
弊社の場合、今の所、該当しない。今後、保守とWEBのセット販売になれば注意。
一時点の売上と一期間の売上を分けて計上する必要がある。
⑤ 履行義務の充足による収益の認識(②識別した履行義務の完了に応じ売上認識)
一定期間で充足するのか、一時点で充足するのか。以下の三つを検討。
1.企業が顧客との契約で定めた義務を履行するにつれて、顧客が便益を得られるか。
2.企業が義務を履行する事で、顧客の資産ができあがるか、又は資産価値が増加するか。(土地の上に建物ができるイメージ)
3.他に転用できない性質の資産ができあがっている、かつ資産のできあがった部分に対して対価を収受する強制力のある権利を有しているか。
いずれか満たしている場合、新収益基準(進行基準)。当てはまらない場合、完成基準。
「極めて短期のもの」に例外的に完成基準を認めている。一般的に3カ月。
「金額の重要性」について、1億以上からは注意。新収益基準(進行基準の対応)
弊社の場合、ウェブ制作の過程で、顧客が便益を得られるかだが、場合によっては、
該当する。ただ、今の所、金額の重要性という点(1億以内)で問題なし。
ただ、案件によって、進行基準を適用したい場合、フェーズ毎に、発注書と検収書をもらって、請求書を発行してれば、計上根拠になる。そもそも別プロジェクトとして認識させる。ただ、どこかに原価が偏れば、指摘されるかもしれないし、なぜ他は進行基準にしないのかの話にもなるので取り決めは必要になる。
また、新収益認識については、進捗度に基づいて収益を認識する必要があり、
見積もり方法は、「アウトプット法」と「インプット法」がある。
「アウトプット(顧客から欲しいと言われたもの・サービスの事)法」→顧客にとっての価値を直接的に見積もる方法。
→例として、経過期間、生産単位数、引渡単位数など。
「インプット法」→契約における履行義務が完全に充足するまでの予想されるインプット(成果物を作るために投入する全てのもの)に基づき収益を認識する方法。
→例として、消費した資源、発生した労働時間、発生したコストなど。