相続放棄

第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

(1)この手続きを選択した方がいい人
● 明らかに相続財産が債務超過である相続人
● 生前、被相続人との交流が全く無く生活ぶりを知らない
● 面倒な相続争いに巻き込まれたくない。
● 負債はないが、財産が資産価値のない山林や田畑ばかりで売却も難しく、
維持管理の費用がもったいない。
● 旧民法時代の「家督相続」のように、家長に全てを引き継がせたい場合のその他の相続人

(2)手続きの方法
熟慮期間内に、相続人単独で管轄裁判所への申述が必要。(民938、家手201条5項)
● 法定代理人(親権者、後見人等)が本人に代わって申述を行う場合は、法定代理人も相続人の場合、特別代理人の選任が必要。法定代理人が先に、もしくは同時に放棄の申述を行う場合は、代理可。(裁判昭53.2.24)
● 管轄裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所となる(家手201条1項)「相続が開始した地」とは、実務上は最終の住所地が原則。
● 印紙代が800円、予納郵券代は管轄裁判所によって異なる。

※熟慮期間とは

第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三カ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。